2022.01.28(金) - 2022.03.27(日)
本年開館40周年を迎えるMOA美術館のコレクションは、創立者・岡田茂吉(1882~1955)が蒐集した日本・中国をはじめとする東洋美術を中心に構成されています。
なかでも国宝「紅白梅図屏風」は、光琳の最高傑作と高く評され、二曲一双の金地を背景に白梅と紅梅を対峙させ、図案化した梅花や水流が装飾的な画面につくりあげています。

本展では、開館40周年を記念し、「紅白梅図屏風」をはじめ京焼の大成者・野々村仁清作「色絵藤花文茶壺」、三大手鑑のひとつとして著名な手鑑「翰墨城」の国宝3件の同時公開に加え、「樹下美人図」「過去現在絵因果経断簡」「聖観音菩薩立像」などコレクションの各ジャンルを代表する名品を精選して展観します。梅花の香る熱海で日本・東洋美術の精華をゆっくりご鑑賞ください。

国宝「紅白梅図屏風」 尾形光琳作
光琳が宗達に私淑し、その画蹟に啓発されながら、独自の画風を築き上げたことはよく知られている。水流を伴う紅梅・白梅の画題や二曲一双の左右隻に画材をおさめる構成のやり方がそれである。しかし、白梅の樹幹の大部分を画面外にかくし、紅梅は画面いっぱいに描いて左右に対照の妙をみせ、中央に水流をおいて末広がりの微妙な曲面をつくり上げた構図は光琳の独創ということができよう。後に光琳梅として愛好される花弁を線書きしない梅花の描き方や蕾の配列、樹幹にみられるたらし込み、更に他に類を見ない卓越した筆さばきをみせる水紋など、こうした優れた要素が結集して、画面に重厚なリズム感と洒落た装飾性を与えている。本屏風が光琳画業の集大成であるといわれる所以であろう。向かって右隻に「青々光琳」、左隻に「法橋光琳」と落款があり、それぞれ「方祝」の朱文円印が捺されている。光琳晩年の作と思われ、津軽家に伝来した。