徳川家康が愛でた熱海温泉

Hot spring beloved by “Tokugawa”

日本屈指の熱海温泉は、その知名度に恥じない「歴史」と「泉質」と、毎分16,600リットルの総湧出量を誇る「湯量」にあります。静岡県は温泉施設数では日本一とされていますが、その多くは伊豆半島に集中し、熱海は源泉数が600本以上ある伊豆半島随一の温泉街です。昔は社員旅行や新婚旅行といった旅行が多かったのですが、最近では若い人たちの観光地として賑わいを見せています。年間300万人の宿泊者をお招きしている日本屈指のリゾート地です。

熱海温泉の歴史

熱海温泉の歴史は古く、伊豆風土記の記述(713年)が一般的に知られています。それによれば「天孫降臨に先立って大己貴命は、秋津の国の民が若死にするのを憫んで少彦名命に製薬温泉之術を与えて伊豆国の神の湯に遺わされた。この湯は普通の湯ではなくて一昼夜に二度烈しく沸騰して噴出する。これを桶に入れて身を浸すと諸病が悉く治った」とあります。この記述が熱海七湯の大湯間歇泉を示すとされています。

湯治温泉としての熱海温泉

戦国から江戸時代にかけて医学の世界は新しい時代に入ります。中でも医学理論を体系化し、病気予防・保健衛生などの知識をひろめた、古医方中興の祖といわれる曲直瀬道三(まなせどうさん)の功績は大きいです。当初毛利家に仕えた道三は秀吉が天下を統一してからは養子玄朔と共に豊臣家に使え、その後、徳川家にも重用されました。

徳川家康が愛でた熱海温泉

徳川家康は1604年、二人の息子を連れ、湯治のため熱海を訪れた記録が残っており、その後、江戸城に熱海の温泉を運ばせました。以来、多くの大名が熱海温泉を訪れています。熱海市史によれば、江戸時代、熱海には多くの文化人が訪れ、明和から慶応までの江戸時代約100年の間に代表的な紀行文だけでも36編存在するといわれます。

将軍家御用達の荷を運ぶ様子

各地区の熱海温泉

Districts in Atami

熱海温泉エリア

熱海の中心地となるエリアで、熱海湾を囲むように多くの宿泊施設や観光施設が立ち並ぶエリア。再開発も進み、旅館や温泉施設もリニューアルや新規オープン、土産物屋やスイーツも楽しめる。

網代温泉エリア

熱海市内で漁師町の風情がもっとも強く、あじやイカに代表される海産物の逸品がそろう「網代」の温泉は、源泉の平均温度が約78度で平均湧出量は毎分約207リットルで、ともに熱海市内でトップの実力を誇る。

伊豆山温泉エリア

日本三大古泉のひとつ「走り湯」がある「伊豆山」の温泉は、パワースポットとして有名な伊豆山神社の霊湯として、古くから崇められた歴史をもつ。「走り湯」は、全国的にも珍しい横穴式の源泉で、約70度の源泉が毎分約180リットル湧出している。

伊豆多賀温泉エリア

特産の柑橘類が実る山々に囲まれた波静かな多賀湾沿いを中心に旅館が並ぶ「多賀」エリア。ゆったりと流れる時間の中で、やさしい泉質の湯を楽しめる。熱海市内では稀な高アルカリ泉の源泉をもつ施設があるのもこの地域。

伊豆湯河原温泉

万葉集にも詠われた落ち着いた旅館が箱根外輪山から流れる藤木川(下流は千歳川)沿いに立ち並ぶ。熱海市全体の中で多くを占める塩化物泉ではなく、単純泉が比較的多く気軽に楽しめる。

伊豆湯河原温泉遠景

熱海温泉の効能

Efficacy of onsen

熱海温泉は無色透明で匂いも香りもありません。ただ、保温効果の高さや美肌感は十分に体感いただくことができます。目先の色や匂いに惑わされることなく、熱海温泉の泉質の素晴らしさを実感してください。

塩化物泉の適応症

浴用単純温泉の適応症に加えて、きりきず、やけど、慢性皮膚病、虚弱児童、慢性婦人病
飲用慢性消化器病、慢性便秘 注:飲用に適しているか否かは事前にご確認ください。

硫酸塩泉の適応症

浴用単純温泉の適応症に加えて動脈硬化症、きりきず、やけど、慢性皮膚病
飲用慢性胆嚢炎胆石症、慢性便秘、肥満症、糖尿病、痛風 注:飲用に適しているか否かは事前にご確認ください。

市営温泉のある町

Municipal hot springs

熱海温泉では、全国でも珍しく市営で温泉事業を運営しています。市営温泉の運営は70年以上の歴史があり、発足当初は温泉を旅館へ効率よく供給することを目的に始まりましたが、今では、旅館、保養所などへ供給するとともに、一般家庭へも温泉を届けています。