葛飾北斎(1760-1849)の代表作として知られる「冨嶽三十六景」を「北斎 The Great Wave×Digital」と題して、デジタル技術を活用した新しい角度で展観します。 「冨嶽三十六景」は富士の周辺を廻って様々な場所、様々な距離から生き生きと働く庶民の姿と共に描かれたのが特徴です。「東京今と昔」は当時の江戸の風景と現在の風景写真とを対比して展示します。また「神奈川沖浪裏」は「グレート・ウェーブ」として欧米で有名で、フランスの作曲家クロード・ドビュッシーが1903年から1905年にかけて作曲した管弦楽曲『海』初版の表紙デザインに大きな波の部分が用いられ、その影響の大きさが知られます。 また大胆で奇抜な構図も本シリーズの特徴です。大きな桶を通して富士を望む「尾州不二見原」、東都浅草本願寺に見られる寺院の屋根と富士の三角形の相似形などは北斎ならではの機知に富んだ構図です。当時ドイツから舶載された合成顔料のベロ藍で描かれた藍摺絵は、近年の研究で、本シリーズ中の初期の作品と指摘されています。 NHK Eテレ『びじゅチューン!』で著名な現代アーティスト・井上涼さんによる新作アニメーションも上映します。併せて当館のデジタル技術で「冨嶽三十六景」を投影、「北斎漫画」の諧謔的な人物をアニメーション化しました。現代のテクノロジーと180年前の北斎版画のコラボレーションをお楽しみ下さい。