ATAMIジオネットワークは6月4日、伊豆半島が世界ジオパークに認定されたことを記念して熱海市の初島ジオツアーを行いました。市内西熱海町のグループや神奈川県内から12人が参加。ジオガイドの北島会長と石川彰さんの案内で、海底火山の噴出や隆起でできた波打ち際の巨大な溶岩の塊(かたまり)などを観察しました。

石川さんは「初島は火山島である伊豆諸島と違い、海底が隆起して海上に姿を現した溶岩でできた島。3回に分けて隆起し、この巨大な石は海底にあったものが、一番最後の隆起となった関東大震災(1923年)の際に1・8メートル持ち上がって出現した。およそ30万年前のもので、大震災以前の波打ち際は小さな石だったそうです」と説明。その関東大震災では、熱海は全く持ち上がらなかったことから、伊豆半島と初島は別のプレートにあり、違う動きをしていると解説した。

■約7000年前から人が住み、縄文時代のからの遺跡
首都圏から最も近い有人島の初島は、約7000年前の太古から人が住み、島内には縄文時代からの遺跡が点在している。火山岩の一種で旧石器時代にナイフややじりとして使用された黒曜石も出土されている。石川さんは「黒曜石の産地としては上多賀も知られるが、初島のは90キロ離れた神津島のもの。太古の昔より、人々が海を越えて交流していたことが分かる」と話した。
このほか、ツアーでは初島海洋資料館、江戸城石垣採掘跡、初島灯台などのジオサイトや海泉浴「島の湯」、何百種類もの亜熱帯の植物が生い茂る「アジアンガーデンR-Asia」、百年に一度しか咲かない竜舌蘭、食堂街などを約2時間かけて巡った。海岸の何気ない大きな石も、世界ジオパーク認定で貴重な観光コンテンツに生まれ変わりました。